かぶろぐ
【 蒼天 】管理人「かぶ」こと鏑矢トシキの、生活臭漂うユルくてだるくてダメくさいカンジのブログです。
【不定期連載?】それからの物語(03)
- 2012/04/29 (Sun) |
- それからの物語 |
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いつの間にやらGWですね。
いや、衣替え衣替え詐欺の季節、というべきか。
何もないのもアレなので、例の隙間連載をあげてみます。
それからの物語(03)
続きからどうぞ!
いや、衣替え衣替え詐欺の季節、というべきか。
何もないのもアレなので、例の隙間連載をあげてみます。
それからの物語(03)
続きからどうぞ!
【不定期連載?】それからの物語(03)
「ミカさんも仰ってたでしょう、傷口が開きますよ」
「お前……お前が俺を?」
ヒデの問いかけに男は黙って頷いて、ミカの方を振り返った。
そして許しが出たのか、男はまたヒデの方を向いて言った。
「今は真白と名乗っています。皆さんシロと……もう魔王でも何でもないですし」
「俺だって……」
「はい?」
「俺だってもう……英雄じゃねぇよ」
「……そうでしたね、ヒデさん」
微妙な空気が2人の間に流れ、それを断ち切るようにミカが割って入った。
「はいはい、はいはい! 話はそこまで、ね。ヒデさん、あんたは寝る。シロはちょっと店を手伝って」
「あ、はい。わかりました。ではヒデさん、何かあったらこいつに……覚えてますか?」
ふいっと流れたシロの視線をヒデが追う。
そこには大型犬というにはあまりに立派な白銀の獣がいた。
犬というよりは狼、そして狼というにはあまりに神秘的な、聖獣といっても言いすぎではないような圧倒的存在感。
ヒデは確かにその獣の事を知っていた。
そう、あれは……あの頃、魔王の傍らにいつも寄り添うように付き従っていた……。
「こいつは……」
もう全て終わった後だとわかっているのに身体が勝手に緊張する。
空気が嫌が上にも張りつめ、白銀の獣が威嚇の唸り声が響く。
「やめなさい。怪我人を相手に……」
シロがたしなめるようにそう言うが、ヒデは首を傾げた。
(怪我してなかったらいいのかよ)
心の中で盛大に突っ込むと、まるでそれが聞こえていたかのようにシロが言葉を継いだ。
「いいえ。怪我をしてなくってもダメです」
その声に、白銀の獣が渋々といった風に静かになった。
シロはすみません、と苦笑した。
「話せるのか? そいつと」
思わず口を突いて出た言葉にシロがふっと噴出した。
「いや、今はもう……でも、わかるんです。何となく」
「わかる?」
「はい。一緒に過ごした時間は長いですから」
「…………へぇ……」
興味薄そうなヒデの返事にも、シロは静かに微笑んで返した。
「では私は行きますね。これは人の言葉を解します。何かあれば……」
「わかった。こいつに言えばいいんだな」
「……はい。そうして下さい」
そう言ってシロは何かを念押しするように、白銀の毛並みを数回撫でてから部屋を出て行った。
部屋に静寂と緊張が戻ってくる。
ヒデは大きく息を吐きだして、まだ痛む身体に顔を歪めた。
その様子を大きな金色の双眸が見つめている。
やや重たくなった空気を感じて、ヒデは目を閉じてぼそりとこぼした。
「チャンスじゃねぇの? ご主人様、は……いねぇし、俺は動けねぇ」
空気が揺れた。
それでもかまわずヒデは続けた。
「喉元食いちぎろうが、構わねぇよ。呻き声一つあげねぇでいてやるから……」
何を言おうとしているのか、自分で少し驚いた。
(だから……だからもう終わらせてくれ)
思わず飲み込んだ言葉に独り苦笑する。
さらに張り詰めた空気を感じて、ヒデは静かに目を閉じた。
こんな緊張の中で眠るのは久しぶりだ、と思う。
そしてそれに妙な安堵感を覚えている自分を嫌悪した。
(いったいいつまで……いつになったら…………)
期待とは裏腹に、すぐ横に腰を落としている獣は微動だにしない。
それが嬉しいのかどうなのか、ヒデ自身もよくわからなかった。
ただ痛む身体と、それ以上に掻き毟られるように苦しい心情を持て余して困った。
それでも疲労はさらにそれを上回っていたようで、ヒデはいつの間にか眠りに落ちた。
白銀の獣は、まるで番犬のようにその傍らでじっとその姿を見つめていた。
<to be continued...>
今回はここまでです。
白銀の獣、絶賛名前考え中(苦笑)
隙間連載だけに、だいたいの方向性のみで走ってます。
いや、今回だけじゃないか。いつもか。
こちらばかりではなく、サイトの方も始めないとね。
準備中です。書きたいモノが多すぎて進めない、そんなカンジ。
頑張ります。
「ミカさんも仰ってたでしょう、傷口が開きますよ」
「お前……お前が俺を?」
ヒデの問いかけに男は黙って頷いて、ミカの方を振り返った。
そして許しが出たのか、男はまたヒデの方を向いて言った。
「今は真白と名乗っています。皆さんシロと……もう魔王でも何でもないですし」
「俺だって……」
「はい?」
「俺だってもう……英雄じゃねぇよ」
「……そうでしたね、ヒデさん」
微妙な空気が2人の間に流れ、それを断ち切るようにミカが割って入った。
「はいはい、はいはい! 話はそこまで、ね。ヒデさん、あんたは寝る。シロはちょっと店を手伝って」
「あ、はい。わかりました。ではヒデさん、何かあったらこいつに……覚えてますか?」
ふいっと流れたシロの視線をヒデが追う。
そこには大型犬というにはあまりに立派な白銀の獣がいた。
犬というよりは狼、そして狼というにはあまりに神秘的な、聖獣といっても言いすぎではないような圧倒的存在感。
ヒデは確かにその獣の事を知っていた。
そう、あれは……あの頃、魔王の傍らにいつも寄り添うように付き従っていた……。
「こいつは……」
もう全て終わった後だとわかっているのに身体が勝手に緊張する。
空気が嫌が上にも張りつめ、白銀の獣が威嚇の唸り声が響く。
「やめなさい。怪我人を相手に……」
シロがたしなめるようにそう言うが、ヒデは首を傾げた。
(怪我してなかったらいいのかよ)
心の中で盛大に突っ込むと、まるでそれが聞こえていたかのようにシロが言葉を継いだ。
「いいえ。怪我をしてなくってもダメです」
その声に、白銀の獣が渋々といった風に静かになった。
シロはすみません、と苦笑した。
「話せるのか? そいつと」
思わず口を突いて出た言葉にシロがふっと噴出した。
「いや、今はもう……でも、わかるんです。何となく」
「わかる?」
「はい。一緒に過ごした時間は長いですから」
「…………へぇ……」
興味薄そうなヒデの返事にも、シロは静かに微笑んで返した。
「では私は行きますね。これは人の言葉を解します。何かあれば……」
「わかった。こいつに言えばいいんだな」
「……はい。そうして下さい」
そう言ってシロは何かを念押しするように、白銀の毛並みを数回撫でてから部屋を出て行った。
部屋に静寂と緊張が戻ってくる。
ヒデは大きく息を吐きだして、まだ痛む身体に顔を歪めた。
その様子を大きな金色の双眸が見つめている。
やや重たくなった空気を感じて、ヒデは目を閉じてぼそりとこぼした。
「チャンスじゃねぇの? ご主人様、は……いねぇし、俺は動けねぇ」
空気が揺れた。
それでもかまわずヒデは続けた。
「喉元食いちぎろうが、構わねぇよ。呻き声一つあげねぇでいてやるから……」
何を言おうとしているのか、自分で少し驚いた。
(だから……だからもう終わらせてくれ)
思わず飲み込んだ言葉に独り苦笑する。
さらに張り詰めた空気を感じて、ヒデは静かに目を閉じた。
こんな緊張の中で眠るのは久しぶりだ、と思う。
そしてそれに妙な安堵感を覚えている自分を嫌悪した。
(いったいいつまで……いつになったら…………)
期待とは裏腹に、すぐ横に腰を落としている獣は微動だにしない。
それが嬉しいのかどうなのか、ヒデ自身もよくわからなかった。
ただ痛む身体と、それ以上に掻き毟られるように苦しい心情を持て余して困った。
それでも疲労はさらにそれを上回っていたようで、ヒデはいつの間にか眠りに落ちた。
白銀の獣は、まるで番犬のようにその傍らでじっとその姿を見つめていた。
<to be continued...>
今回はここまでです。
白銀の獣、絶賛名前考え中(苦笑)
隙間連載だけに、だいたいの方向性のみで走ってます。
いや、今回だけじゃないか。いつもか。
こちらばかりではなく、サイトの方も始めないとね。
準備中です。書きたいモノが多すぎて進めない、そんなカンジ。
頑張ります。
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