かぶろぐ
【 蒼天 】管理人「かぶ」こと鏑矢トシキの、生活臭漂うユルくてだるくてダメくさいカンジのブログです。
【不定期連載?】それからの物語(02)
テキストですか、進めてますよー。
遅いですけどね……申し訳ないくらい遅いですが。
だって一応これで完結でしょう?
もったいぶってるわけじゃないけど、回収するもんはしないとだし。
続きもね、あるっちゃーある話だから。
やっぱいいかげんには締めくくれないし。
で、何も読み物とかないし、ここはまたアレかなと。
おっさんも考えたけど、おっさん打てるならユウヒ打つし。
ってなわけで「それからの物語」、さっき打ちました。
続きからどうぞ。
それからの物語(02)です。
【不定期連載?】それからの物語(02)
音が少しずつ戻ってくるのを感じ、意識がハッキリしてくるのと同時に痛みが一気に押し寄せてきた。
自分が生きている事を自覚した瞬間に、あまりの激痛に男は呻き声と共に目を開けた。
すぐ側に人の気配がする。
「あ……気が付きましたか」
どこかで聞いたようなその声の主は、ゆっくりと立ち上がった。
「彼女を呼んでくるよ。ここを頼む……」
少しの間。
誰と話をしているのか、他に誰かがいるような気配はない。
「いや、大丈夫。じゃ、頼むよ」
穏やかにそう言った声の主はどうやら部屋を出て行ったようだ。
激痛が走るので周りの様子が窺えない男は、とりあえず急いで逃げなくてもいいらしい事に安堵の溜息を漏らした。
よほど身体が痛むのだろう、吐く息は震え、そして細かった。
声の主は男で、言葉通りに誰かを呼びに行ったようだった。
静かな部屋の中、いったい誰にこの場を頼んだのかと不思議に思ったその瞬間、洗い息遣いと共に何かが近付いてきた。
どうやら人間ではないようで、獣のような臭いが鼻を突いた。
(なんだ?)
なぜかその気配に覚えがあった……妙な胸騒ぎを覚えたがあいにく身体は動かせそうにない。
なすすべもなく嫌な汗が吹き出てくるのを感じながら、男はすぐ横にいるであろう獣に意識を集中した。
廊下の方で複数の足音と共に人の気配と話し声。
そしてまた先ほどの男の声が、少し慌てたように部屋の入り口と思われるあたりから聞こえてきた。
「やめなさい。何を威嚇してるんですか、怪我人を相手に」
続けて女の声がした。
「いろいろあったんだもの。そりゃ噛み付きたくもなるわ」
少し笑いを含んだようなその声には聞き覚えがあった。
「ミ……ミカ、か?」
痛みを堪え、声を振り絞ってそう言った男の顔を、よく見知った顔が覗き込んだ。
「久しぶりね、ヒデさん。また随分と今回はボロボロじゃないの」
「ここ……は?」
「え? あぁ、アタシの店の地下。感謝しなさいよ、この人がここまで連れてきてくれたんだから」
「いや、感謝とかそういうのは……」
なぜか恐縮したように言う声に、ヒデはやはり聞き覚えがあった。
それが表情に出ていたのだろう。
ミカは困ったような顔で小さく溜息を吐いた。
後方を見るような素振りは、恐らく声の主である男にどうしたものかと確認したのだろう。
向き直ったミカはやはり困ったような顔で言った。
「そう、ヒデさんも知ってる人だよ。でも今はそんな事より怪我を治す方に専念しましょ」
「……でも……っ」
「いいからいいから。どうせ今いろいろ聞いたってどうにもできないんだし、むしろ傷口開いちゃうリスクの方が高いってもんだわ」
「は?」
「いいのよ、気にしないで。まずは寝なさい」
ミカはそう言って半ば強制的に話を打ち切ると立ち上がった。
「ちょこちょこ様子は見に来るけど、もし起き上がれるようだったら店に上がってきて。何か作るわ」
「いくら何でもそれは無理でしょう。私がここまで運びますよ」
「いいのよ。甘やかしたらダメ」
「ですが……」
「……いいの、あなたがそこまでしなくても。過去は過去、でしょ?」
「……はい」
意味深なやり取りにヒデは必死に思いを巡らせる。
どうやらこの自分を助けた男と自分は過去に接点があったらしい。
ヒデの過去と言えば世界を魔王から助けた英雄、勇者としての過去しかない。
魔王――。
その存在を思い浮かべた時、何かがヒデの心の琴線に触れた。
(魔王?)
なぜか嫌な予感がした。
いや、もう全て終わっている事だし、今さらどうこう言う感情は湧いてこない。
だがそこを手がかりに記憶を寄せ集めていくと、どうしても一つの答えした出てこない。
昔とは似ても似つかぬ穏やかな口調、気配。
だが時折その穏やかな声に感じる奇妙なまでの冷たさが、ある人物を思い出させる。
「ま、おう……なのか?」
その言葉に部屋の中の空気が一瞬で緊張で張り詰める。
カタカタと何か硬いものがあたるような音がして、またあの荒い息遣いの獣が近付いてきた。
今度は喉をグルグルと鳴らし、本格的にヒデに対して敵対の意味で威嚇をしてきている。
続けて靴音がして、長い黒髪の男が視界の中に入ってきた。
すぐ側まで寄ってきていた見事な白銀の毛並みの大型犬を宥めて後方に押しやり、ヒデの顔を覗きこむようにして男は言った。
「……お久しぶりです、英雄さん」
やはり……と、ヒデが無意識に身構えようとして、体中に激痛が走る。
顔を歪めてそれを堪えると、乱れた毛布を掛け直しながら黒髪の男が再び口を開いた。
<to be continued...>
今回はここまでです。
元・英雄さんと元・魔王さんがお互いにお互いを認識しました。
傷口は開かなかったようですが、たぶん嫌な汗いっぱいかいてますね、ヒデ。
あとミカさんも登場しました。今はあんなカンジですが、普段は……。
また続き打ったらあげますね。
誰か見てるのか、ちょっとわかんないですけど。
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